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毎週、林 晃史氏 のコラムを掲載しています。
1ヶ月で1話完結です
| 夏の虫を食べる! |

写真:アブラゼミの「蒸し焼き(左)」と「から揚げ(右)」
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Part
1.“夏の虫”はどんな虫か?
夏と言えば、「虫」を思い出す。それは、はるか昔の少年の頃、夏休みの宿題と言えば、昆虫採集で来る日も来る日も、虫捕りに熱中した後遺症なのうだろう。
では、どんな虫が、“夏の虫”だったのか?自分の記憶を辿ると「セミ」に行き着く。なぜ、「セミ」なのかと言うと、安い道具で、近場で容易に捕らえる事ができたからである。
今回は、何人かの人に“夏の虫”を聞いてみた。知人の一人に、どんな虫を思い出すかを聞いてみたが、なんとも夢の無い回答だった。
彼は、ハチ、蚊、アリ、ブユだと答えが返ってきた。製薬会社に勤めている事もあって、どうも商品に結びつくものしか思い出さないようだ。
他の一人は、しばらく考えて、ナナフシ、オニヤンマ、オオムラサキ、キアゲハ、カブトムシと答えた。今は、商社勤めだが、昔、子供であった頃、名門幼稚舎で育ったと言う。豊かなフィールドに恵まれていたのであろう。
残念ながら私の身近には、王朝和歌の世界に頻繁に登場する「蛍(ホタル)」と答える人が居なかった。夏の虫を思い出させると、どうやら「育ち」が出てくるようだ。
(つづく・・・)
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2. “都心の夏の虫“はセミだと言う
場所をかえて“都心の夏の虫”を聞いてみた。神田、御茶ノ水界隈、丸の内、渋谷での回答は、「セミ」が殆どであった。これは、環境の都市型化と無縁ではない。
では、都市を代表する“夏の虫”を食べる事としよう!と言う話になった。それも、街で捕らえて料理し、食べると云う企画。話は簡単に決まり、東京は大森の「オート・キャンプ場」で実行。結果は、失敗であった。
その原因は、今の人達が、「虫を食べる作法」を知らない事にあった。この「虫を食べる作法」は、夏休みの宿題で虫捕りを体験する中で培われるものである。
理想的なクッキングは出来なかったが、なんとか「から揚げ」、「蒸し焼き」を準備する事ができた。すっかり日が暮れて、人気(ヒトケ)の絶えたオート・キャンプ場のバーベキューの食卓で、なんとか舌鼓を打つ事ができた。昔、昆虫少年の技か、試食で虫が大嫌いな人の満足を勝ち得た。
何度か、虫の料理番組に出演し、調理の腕前を披露したが、今回は侘び(ワビ)の世界であった。
(つづく・・・)
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3. セミの味くらべ
セミの味を比較する前に、セミとはどんな虫なのかを知っておきたい。この夏の虫、“セミ(蝉)”は、昆虫綱の半翅目に属する虫で、タガメやカメムシの仲間である。
この虫の特長は、樹液を吸うための長い「口吻(コウフン)」を持つ事である。また、腹部が、雄成虫では、発達した発音筋と発音膜を持ち、雌では卵巣や産卵管があって、よく発達している。
これらは、素材の虫、味を支える要素でもある。それに、幼虫、成虫ともに樹液を餌とするところに食材としての価値がある。しかし、この樹液を吸汁する性質は、リンゴなどの果樹園にとっては迷惑な大害虫なのである。
なお、セミの種類は、世界で1,500種とも3,000種とも言われているが、日本には、おおよそ30種が知られている。だが、容易に手に入る事の出来るのは、せいぜい10数種であろう。
虫の味をききわける事は、かなり難しいことである。以前、テレビの虫料理番組で目隠をして虫料理を当てる実演をしたが、味として、タガメ、コオロギ、イナゴ、ゴキブリは、鑑別ができた。しかし、翅を外したニイニイゼミ、アブラゼミ、クマゼミ、ツクツクボウシ、ミンミンゼミを“素揚げ”にして、食べ比べたが、何度くり返しても識別ができなかった。
同じ研究仲間にも参加して貰ったが、回答は支離滅裂であった。しかし、料理方法を変え、“茹で物”にした場合、アブラゼミとツクツクボウシの違いは判った。
結論としては、ゴキブリとセミの区別はつくが、同じ種類では基本骨格が同じなので、味比べは無理だと言う事に達した。しかし、セミは食べやすい虫の一つである。それに、民間薬としても用いられていた。その一つは、セミの抜け殻の“蝉退(センタイ)”である。この蝉退(センタイ)は、“小児の夜泣”や“ひきつけ”に効果があるとされている。前者には、抜け殻を半分に砕き、これにハッカ油と酒を少々加えて飲ませば良いと言う。また、後者には、抜け殻2個を水2合で、1合になるまで煎じ、砂糖を加えて3回に分けて読ませると良いと言う。
面白いのに、痔核にも効くとある。これは、セミ20匹を種油2勺の中に入れ、根気よく煮つめて、黒色となったものを根気よく肛門に注ぐと効果があるというものである。
(完結)
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